愛着形成、愛着障害
愛着とは子供と養育者の間に形成される強い結びつき(アタッチメント・絆)。
愛着によって得る安心感や信頼感を足がかりにしながら、周囲の世界へと感心を広げ、認知力や豊かな感情を育んでいく。
子供に対するマルトリートメントと愛着障害には深い関わりがある。
子供時代の愛着をいかに築くかが、その後の人生の精神面に大きな影響を与える。
つまり、 愛情ある養育のありなしは、その後の人生のストレス耐性に深く関係するということです。
マルトリートメントは、どこの家庭でも起こりうること
「マルトリートメント」とは、1980年代からアメリカなどで広まった表現で、日本語で「不適切な養育」と訳され、こどもの健全な発育を妨げる行為を指します。
虐待とほぼ同義ですが、「こどもの心と身体の健全な成長・発達を阻む養育を全て含んだ総称」であり、大人の側に加害の意図があるかないかに関わらず、
また、こどもに目立った傷や精神疾患がみとめられなくても、行為そのものが不適切であれば、それはマルトリートメントと言えます。
つまり、報道されるような極端なケースだけではなく、マルトリートメントはどの家庭でも起こりうるものなのです。
しつけと称して怒鳴りつけたり、脅したり、兄弟間の安易な比較、親が良しとする教育分野の押しつけ、自己都合による子供の感情の無視、その他色々ですが、
こどもと関わる大人の多くが、自分は児童虐待と無関係だと思って見過ごし、日常的に不適切な接し方でこどもの脳を傷つけている可能性もあるのです。
まずは、マルトリートメントという言葉を知り、自分の行動がそれに当てはまらないか見直してみる
子育てという慣れないトライアルの中で、親も、学んで、築いていくものなのでしょう。
こどもにとって、親に否定されることは、そのまま世界に否定されることと同じ。
世界に否定されることは、生きづらさとつながります。
こどもには、そのままで生きていて大丈夫だよ、という安心感をたっぷりと与えてあげましょう。
親が子供を信じてあげることが、マルトリートメントにつながる言葉を発しなくなるための、最善のことなのではないかと思います。
著書:子どもの脳を傷つける親たち より引用